1.動作原理


  図1に基板にLiNbO3を用いた進行波形Mach-Zehnder(MZ)形光変調器の概略図を示す。
図1 進行波形光変調器

  図1において、入力光はまず3dB分波器により分波され、2本の導波路に導かれる。一方の導波路では変調部を通過するときに位相変調が加えられ、その後出力側の合波器によりもう一方の導波路を通過してきた参照波と干渉合成される。すなわち加えられた位相変調は出力光の強度変調に変換される。ここで、変調部を両方の分岐に設けそれぞれで互いに逆位相で位相変調を行い、それを干渉合成(プッシュプル)すれば、より高効率で強度変調を行うことが出来る。位相を参照波に対しpだけずらすと出力光は干渉して出力0となるので、この時の電圧は変調器の性能を示す一つの目安となる。そこでこの時の電圧を半波長電圧と呼び、次式で表される。 ただしVp;半波長電圧、λ;光の波長、Γ;印加電圧低減係数、s;電極のギャップ長、L;電極の長さ、N0;光波の屈折率である。上式より半波長電圧を下げるには電極長を長くすればよいことが分かる。
 次に次式で表される進行波電圧  ただし を時刻tに印加した時、時刻tに変調器の入力端(x=0)に入射した光が出力端(x=L)に到達した時の位相変化は次式のように与えられる。 ただし ここで、v(0,t);入力電圧、α;電極の減衰定数、w=2pf;変調角周波数、β;位相定数,Vp;半波長電圧、F(w);複素変調度、L;電極の長さ、θ(w);出力端における信号波と光波の電気長差、c;光速、Nm;信号波の等価屈折率、N0;光波の屈折率である。
 この時、MZ形光変調器の出力端での光出力強度Iは次式で与えられる。 ここでI0はDf=0すなわち変調がないときの最大出力強度である。
 光波と信号波の速度整合をとった場合(Nm=N0)、(6)式においてθ(w)=0となるので、(5)式は次式のように変形でき、αの周波数依存性が重要となる。 また、(8)式より、F(w)=1/2となる周波数から光3dB帯域幅が定義される。これから次の関係が得られる。 さらに、減衰定数は導体損と誘電体損からなること及び導体損は表面抵抗に比例することを考慮し、減衰定数の周波数依存性を次のように仮定する。 ここで、an、asはそれぞれ常伝導体、超伝導体の減衰定数である。さらに、acn0、acs0は導体損の比例定数、ad0は誘電体損の比例定数である。   式(9)、(10)、(11)から帯域幅の関係式が得られる。 ここで、Dfn、Dfsはそれぞれ常伝導体、超伝導体の帯域幅である。


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