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金谷 晴一

九州大学大学院
システム情報科学研究院
電子デバイス工学専攻

819-0395
福岡県福岡市西区元岡744
 ウエスト2号館-456


E-mail:
kanaya
Publications
研究内容
卒論タイトル
研究分野
  • RF-CMOS フロントエンド

  • ローノイズアンプ (LNA)

  • パワーアンプ (PA)- P[190]

  • 電圧制御発振器 (VCO)

  • ミキサ

  • 光スイッチ・光ルータ

  • 超伝導デバイス

  • 高精度整合回路- P[14], マイクロ波フィルタ- P[15] ,

  • 小型アンテナ- P[180], フィルムアンテナ, フレキシブルアンテナ

  • 平面型アンテナ, スロットアンテナ, UWBアンテナ

  • アレイアンテナ, アダプティブアレイ

  • テラヘルツアンテナ & 光テラヘルツ通信-P[194]

  • エネルギーハーベスティング- P[148]

用途
  • スマートフォン, タブレット端末, 無線LAN, Bluetooth, 超広帯域無線(UWB).

  • 衛星通信, ブロードバンド.

  • ボディエリアネットワーク(BAN), 医療用途.

  • 光テラヘルツ高速通信, テラヘルツイメージング.

トピック

RFフロントエンドの回路設計

ワイヤレスRFフロントエンドは、アンプ(LNA、PA)やミキサー、フェーズロックループ(PLL)を備えた電圧制御発振器(VCO)、およびそれらを整合するインピーダンスマッチング回路で構成されています。私たちは様々なマイクロ波理論を駆使して、チップのコンポーネントの設計を行っています。 RFICコンポーネントの設計は、従来の低周波アナログ回路とは異なります。高周波回路では、高ゲインで低ノイズ、そして低エネルギー消費や低損失(高いQ値)などを要求されることにあります。半導体設計においては現在ナノメートル(nm)の範囲まで微細化が進んでいます。これによりデジタルおよび低周波アナログ回路が占めるチップサイズも大幅に小型化が進んでいます。しかし、いくらトランジスタのゲート幅が細くなっても、アンプやミキサー、VCO、その他インピーダンス整合回路の設計にはスパイラルインダクタが不可欠であるため、RFICコンポーネントや受動回路が占有するチップサイズまでもが縮小するわけではありません。そのため、オンチップLSIを実現するための小型インピーダンス整合回路やマイクロ波フィルタの設計に取り組んでいますが、従来の設計理論を使用した成功例はまだ報告されていません。したがって、マイクロ波回路の設計ルールに基づいた各コンポーネントの小型化はまだ達成できていません。私たちの研究では、LNA、PA、ミキサー、VCO、インピーダンスマッチング回路などのRFICコンポーネントに、コプレーナ導波路(CPW)ラインを使用した新しい設計理論を提案しています。この手法の利点の1つは、従来に比べてオンチップスペースを50%以上節約できることです。また、私たちの研究室は、最先端の技術に加えて、業界標準に準拠した最先端の設計ツール、製造技術、測定機器を利用しています。また、「福岡革新的クラスタープロジェクト」として知られるSoC R&Dプロジェクトで業界のプレーヤーと協力して、低エネルギーおよびモバイルシステムLSIの設計手法を探求し続けています。

小型フィルタと整合回路設計

高周波選択性を備えたワイヤレス技術の主要コンポーネントであるBPF(バンドパスフィルター)などのマイクロ波フィルタもあります。マイクロ波フィルタは、サイズが対象の波長に直接比例するマイクロストリップまたはコプレーナラインや、低スプリアス応答と通過帯域付近の鋭い減衰極によって実現されます。これらのフィルタはオンチップ設計のLSI技術を使用して特性を改善、小型化を行います。一方、整合回路は、LNAとミキサーまたはPAとミキサーなどの各コンポーネントを相互接続するためのRFフロントエンドです。最近、スパイラルインダクタは、ワイヤレストランシーバーの熱ノイズ性能を向上させるという特性があり、整合回路の設計に広く利用されています。しかし、低品質係数(Q値)およびマイクロ波周波数帯域で自己共振が発生し、より高い周波数で動作させるには大きなオンチップスペースを必要とします。そこで我々は新しい設計理論に基づき、シングルチップ受信機フロントエンドのインピーダンス整合回路を設計しています。これは導体付きコプレーナ導波路(CPW)蛇行線で構成されており、実際に設計、製造、およびテストまで行いました。

小型アンテナの設計

電子システムの小型化は近年急速に加速しており、小型のデバイスを追求する傾向はアンテナも例外ではありません。多くの場合、アンテナの性能はサイズとトレードオフの関係にあります。これにより、単なる小型化を行うだけでは放射効率が不必要に低くなり、ビーム幅が減少してしまいます。アンテナの性能は、基本的に動作周波数での波長で測定されるサイズの関数です。「電気的に小さい」アンテナは、物理的な寸法が共振波長に比べて小さい放射体です。この研究分野では、「電気的に小さい」アンテナを実現するための体系的な設計と最適化を行い、アンテナを製作、そして評価しています。商業目的のためのRFIDおよび無線LANに用いるアンテナにおいて、最適な放射特性になるよう設計することも行っています。FR-4などの誘電体基板上やSoC用のチップ上に設計するアンテナ(Antenna in Package, Antenna on Chip) を、MomentumやHFSS、ADSなどのツールを駆使して解析しています。

高性能光スイッチ・ルーターの設計

光スイッチは、電気光学変換なしで光信号の経路を変更する重要なデバイスです。高速光通信では、LiNbO3を使用した外部光スイッチと半導体デバイスが使用されていますが、小規模ネットワーク、つまりルーター用においては、高速で低電力の光スイッチを実現する必要性は大いにあると考えています。このような背景から、高速かつ低消費電力のドライバーの光スイッチを研究しています。高速、そして低消費電力を実現するためにスタック型CMOSインバーターを採用し、待機電力の少ないドライバー回路を設計しました。開発したCMOSドライバーのスイッチング速度は、従来よりも31.5%高速化が実現できています。

HTSのマイクロ波表面インピーダンスに関する研究

詳細は こちら をご覧ください。(English)