1.はじめに


  従来光通信では、ディジタル情報をパルスのまま送り出すベースバンド伝送が行われてきた。これに対し、近年のマイクロ波通信技術の拡大に伴って、マイクロ波あるいはミリ波帯の信号を光波で搬送する、サブキャリア通信方式が提案されている。長距離伝送において減衰の激しいミリ波を波形劣化の少ない光波で伝送しようというものである。
このような用途に対してマイクロ波ミリ波を光波に変換する光変調器が必要となる。ベースバンド伝送では光変調器は広帯域である必要があるが、サブキャリア通信においては変調信号の中心周波数の周りに一定の帯域幅を有すればよく、その分低電圧駆動化が実現できる。
こうした特性を持つ共振型光変調器の提案は以前からなされていた[1],[2]が、我々のグループでは広帯域特性を持つ進行波形光変調器の電極として超伝導体を用いた研究を行ってきた[3]-[6]。その結果、常伝導体と比較して低損失、低分散性を持つ超伝導体の優位性を明らかにすることができた。今回、共振型光変調器の電極として超伝導体を用いることでその性能改善を目指した。
本稿では電極に超伝導体を用いて低電圧駆動化を図り、電極の整合回路としてインピーダンス変換器であるインバータを用いることで高利得化を図る共振型光変調器についての設計と性能について報告する。


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