2.共振型光変調器の概要


  光変調器はLiNbO3(以下LN)を基板とするMach-Zehnder(以下MZ)形のTi拡散光導波路上に電極を装荷して変調信号を光で搬送するものである。
共振型光変調器は図1に示すような電極構造を持ち、50W設計した給電回路、整合回路、dcバイアス回路及び、共振回路から構成される。電極に共振器を持つことにより、入力振幅より大きな振幅を持った変調電界を励振できるため、光変調器は狭帯域だが高効率な変調を行うことができる。
我々は以前Low-Tcの超伝導電極を用い、電極の整合回路としてスタブを用いた共振型光変調器の開発を行った[7]。その結果、超伝導電極を用いることにより変調効率の向上が確認されたが、それに伴い変調器の帯域は減少することが分かった。
マイクロ波通信用としてこの変調器を用いる場合、変調効率を上げるとともに、ある程度の帯域を有する必要がある。こうした要求に対し、我々は電極としてインピーダンス変換器を用いることによりその解決を試みた。
スタブを用いた場合との相違点は次のようになる。スタブではインピーダンス整合を満たすよう共振電極の共振周波数から若干異なる周波数を使用するため、変調効率を大きく増加させることはできない。それに対しインピーダンス変換器を用いた場合、給電点での電圧を大きくとる設計が可能であることと、共振周波数に変調周波数をあわせることができるため、変調効率を大きく増大できる。その分帯域は減少するが帯域の減少分に対し、変調効率の増加分が大きければ、変調効率を上げるとともに帯域を考えた設計が可能となる。
また今回、導体として高温超伝導体を用いた。高温超伝導体を採用することで、冷却が容易となり実験系も簡素化される。また、極低温にする必要がないため、以前低温超伝導体で実験を行ったときに生じた、LN基板のひび割れ等の問題がなくなると考えられる。
このような背景をもとに、高温超伝導体を電極に使用し、変調効率と帯域幅の問題を考慮した共振型光変調器の設計について以下で述べることにする。


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