である。したがってTは、
(3)
となる。 a0はインバータのパラメータであり、これを変化させることによりTの値を大きくすることができる。
3.2 位相変化量,光出力強度の導出
図1において入力光は2つの導波路に分波され、互いに逆位相の位相変調がかけられて出力側で干渉合成することで、高効率な強度変調が行われる。給電点からxの位置での電圧の時間波形v(x,t)のフーリエ変換をV(x,w)とすると、時間t=t0に光導波路に入射した出力端での光の位相変化量Df(t0)は、
(4)
(5)
と与えられる。さらに入射電圧および変調度を
(6)
(7)
と置くことにすると、
(8)
とまとめることができる。ここで、n0は光波の屈折率、L1は共振電極長、b0は真空中の位相定数、Vpは出力光の位相をpだけずらすのに必要な半波長電圧である。この時、MZ光変調器の光出力強度は次式で与えられる。
(9)
ここでI0はDf=0すなわち変調電圧がないときの最大出力光強度である。
3.3 変調度の解析
(7)式の変調度F(w)は交流変調電圧Vi(w)に対する位相変化量Dfの振幅量および位相量を表しており、変調器の周波数帯域、変調電力を決定するパラメータである。
(7)式はさらに解析的に解くことができる。
V(x,w)を共振器上の電圧とすると、において、
(10)
となる。ただし、V0は給電点電圧である。(9)式を用いると、(7)式は次式のようになる。
(11)
ただしg(w)は伝搬定数であり、T(w)は入射電圧Viに対する給電点電圧V0の電圧変換比を表す。これは電極形状により異なり、スタブおよびインバータを用いた場合はそれぞれ(1)式、(3)式のようになる。左辺第二項は伝送線路の特性および共振器長によって決まりほぼ1以下である。左辺第三項は共振器の共振特性を表していて、共振器の持つ中心周波数が共振電極長L1によって変化する。これらのパラメータから変調度の振幅特性や位相特性を解析することができる。
変調度の絶対値|F(w)|は位相変化量の振幅成分となるが、この位相成分arg[F(w)]はその周波数特性の直線性を見ることにより入射信号の遅延特性を知ることができる。変調度の位相成分j=
arg[F(w)]を周波数微分したもの
(12)
は群遅延特性を表す。ある中心周波数を持った入射信号に対し、この中心周波数付近で群遅延時間が一定であれば、その信号は歪みなく光信号に変調がかけられることになる。